最近、「目的設定ができないものの成長」をテーマに考えることが多い。
たとえば「精神性を深める」といった話もそうだけど、「信頼と信用」についてよく考える。
「1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法」の著者である山口さんはこう言う。
信頼はdoingで貯まる、信用はbeingで決まる
— 山口揚平 「1日3時間だけ働いて穏やかに暮らすための思考法」プレジデント社から発売中) (@yamaguchiyohei) February 25, 2020
この言葉を初めて目にした時、僕の印象にずいぶんと残った。今日は「信頼と信用」について考えたい。
「信頼と信用」サマリー
長くなってしまったので、要点をサマっておく。
- 信用=過去の実績から、その人を信じる。
例:過去の業績がいいから、銀行に信用されて融資を受ける。 - 信頼=仮に過去に実績がなくても、人間を信じる。
例:実績0の若者が、人柄とポテンシャルを信頼されて投資を受ける。 - 信頼は「他者への貢献の積み重ね」
- 信用は一目でわかるけど、信頼は時間がかかる
- 信用を決めるbeingは、3つのS(ステータス・ストーリー・スタンス)で構成される
以下、本編です。
「信頼は未来を信じる」「信用は過去を信じる」
双方のちがいを複数の文献で調べると、「信頼は未来を信じる」「信用は過去を信じる」といった文脈で書かれているものが多い。
この文脈に沿って、僕なりに説明してみる。
わかりやすい信用から説明すると、とある社長の過去の実績を見て銀行がお金を貸す場合、「信用があるからお金を貸す」となる。
一方、誠実でポテンシャルがある若者に対して、実績はないけど投資をする場合、「若者を信頼して投資をする」となる。
補足すると、若者には実績がないから事業の成功確率は読めない。つまり新規事業を創る力への信用はない。でも、誠実さといった人間に対する信頼があるから、投資をする。
前者の社長の場合、銀行員は社長の人間性に対して信頼があまりなくても、過去の実績という信用があるからお金を貸すことはできる。
信頼は他者への貢献の積み重ね
では、以下の言葉を僕なりに解釈する。まずは信頼から。
信頼はdoingで貯まる、信用はbeingで決まる
人々は僕が行うこと(行ったこと)を通じて、僕という人間を信じられるかどうかを判断すると思う。
つまり、他者に対する貢献の積み重ねで、僕の信頼度は貯まっていくのだ。
このBlogを読んだ誰かに良い気づきがある、とか。そんな小さなことでも積み重なっていくことで、僕の信頼は貯まっていくはずだ。
クライアントワークもそう。僕の良い提案から成果が上がり続けることで、「Takk.なら仕事を任せられる」という信頼が貯まっていく。
信用は一目でわかるけど、信頼は時間がかかる
ここで一旦、さっきの言葉を見返したい。
信頼はdoingで貯まる、信用はbeingで決まる
あることに気づく。
信頼は「貯まる」なのに、信用は「決まる」となっている。
一概には言えないかもしれないけど、信頼は時間をかけて「貯まる」印象があり、信用はわりと短期間で「決まる」ともとれる。
冒頭の例もそうで、社長の信用度は過去の実績を参照すれば一目でわかるけど、若者の信頼度は短期間の付き合いで計れない可能性が大いにある。
beingを構成する3つのS
では信用がbeing(在り方)で決まるとして、そのbeingは何で構成されているのか。
僕なりに3つのSだと考えている。
- ステータス(status):社会的地位の象徴・自らの現状説明・実績etc.
- ストーリー(story):今に至るまでの物語・原体験・doingの背景や想いetc.
- スタンス(stance):社会的な態度や意見の表明・doingに至る固有の視点や考えetc.
※適切な言葉を探すのがむずかしかったから、etc.で曖昧にした。ニュアンスだけ汲んでいただきたい。
こんなイメージだ。
- ステータスで「どんな人で何をしているのか?(Who, What)」を伝える。
- ストーリーで「なぜやるのか?(Why)」を伝える。
- スタンスで「どうやってやるのか?(How)」を伝える。
「過去の実績」はステータスの一部でしかない。その他にもWho, Whatを伝える要素はたくさんある。
有名なサイモン・シネックの動画の通り、人を動かすのはWhyだ。
そして、その人がどういった意見や考えを持っているかで、課題に対してのHow(どうアプローチするのか)を想像できる。
人のbeing(在り方)は、3つのSで構成されるではないだろうか。
最後に個人的な話。僕は会った人にわりと信頼してもらえる方だけど、3つのSを人に伝える努力はあまりしてこなかった。だから信用はまだないかもしれない。ここはこれからがんばる。
でも一方で、より大事なのは信頼だと心のどこかで思っている。
信頼は他者に対する貢献の積み重ねだ。
今日、明日では貯まらない。
3つのSを人に伝える努力をした上で、毎日の行動の中で、他者に対して何らかの貢献を積み重ねていきたい。