良いイシューとは?「イシューからはじめよ」より

イシューからはじめよ」は名著だ。

何度読んでも気づきがある。ここではこの本から要点をピックアップして、改めて「イシューからはじめる」とはどういったことなのかを整理したい。

知的生産であるという前提

そもそもの前提として、著者の安宅さんは「知的生産」をする前提でこの本を書いている。

知的生産でないなら何かと言うと、何百枚という紙をホッチキスで止めるみたいな仕事を指しているという理解だ。

イシューとは何か

イシューからはじめよ」から引用した。AとBの双方を兼ね備えているものが、イシューとのこと。

いや、正直わからない。なので他の箇所から以下を引用する。

問題はまず「解く」ものと考えがちだが、まずすべきは本当に解くべき問題、すなわちイシューを「見極める」ことだ。(中略)「これは何に答えを出すためのものなのか」というイシューを明確にしてから問題に取り組まなければあとから必ず混乱が発生し、目的意識がブレて多くのムダが発生する。

僕の言葉で言うと、イシューとは知的生産に取り掛かる際に「何に答えを出すためのものなのか?」の問いの対象となるもの。端的に言うと「イシュー=問題」なんだろうけど、「問いの対象」とした方がアクション(知的生産)をする理由がわかるから、より理解が深まる気がする。

仮説を立ててスタンスをとる

安宅さんいわくイシューを定めるだけが大事なことではなく、仮説を立ててスタンスをとることも大事とのこと。以下の通りだ。

イシューの見極めについては、「こんな感じのことを決めないとね」といった「テーマの整理」程度で止めてしまう人が多いが、これではまったく不足している。実際の検討をはじめてから再度「イシューは何だろう」と考えているようではいくら時間があっても足りない。こうしたことを避けるためには、強引にでも前倒しで具体的な仮説を立てることが肝心だ。

ちなみに理由は以下の3つ。

  1. イシューに答えを出す
  2. 必要な情報・分析すべきことがわかる
  3. 分析結果の解釈が明確になる

僕の解釈だと、1はイシュー自体が仮説になっていると仮の答えが出る。(例で上がっているのが、「◯◯の市場規模は縮小に入りつつあるのではないか?」)

仮の答えが出ると、2がわかるし、3もそう。大事なことはイシューに対して仮説を立てて、仮の答えを出すことだ。(仮の答えを出す ≒ スタンスをとる)

イシューを明確にする理由

端的に言うと、目的意識を貫くため。「何のためにやるのか?」の意思統一(特にチームでやる場合)とのこと。

「これは何に答えを出すためのものなのか」というイシューを明確にしてから問題に取り組まなければあとから必ず混乱が発生し、目的意識がブレて多くのムダが発生する。ビジネスであれ研究であれ、1人で取り組むことはほとんどないだろう。チーム内で「これは何のためにやるのか」という意思統一をし、立ち返れる場所をつくっておく。

つまりWhyを決めて、ブラさないためだ。(「信頼と信用」でも言ったけど、有名なサイモン・シネックの動画の通り、人を動かすのはWhyだ。)

良いイシューとは?

しかし気になるのは、「良いイシューとは?」という問いだ。

イシューからはじめよ」を読んで、エッセンスを重要となる問いを以下に抽出してみた。

  1. 本質的な選択肢か?
  2. 深い仮説があるか?
  3. 答えを出せるか?
  4. 実際にインパクトがあるか?
  5. 説得力あるかたちで検証できるか?
  6. 想定する受け手にそれを伝えられるか?

ちなみに安宅さんは著書では最初の3つを良いイシューの条件として挙げている。残りの3つは他の章の言葉から拾い上げた。

この6つの問いを総論にまとめるのは至難の技だけど、僕なりの解釈でやってみると以下になる。

まず良いイシューとは、普通ではない仮説を立てて普通じゃないスタンスをとっている<2>(普通の仮説・スタンスだとアウトプットも当然普通なのでやる意味がない。)

次にそのイシューに答えが出ると、答えが出る以前の世界を変えるインパクトがあるほど本質的なものである(1 と 4)

さらに説得力がある形で検証が可能で<5>、必ず答えが出るものである。(検証ができない&答えが出ないだと、やはりやる意味がない。)

最後に出た答えを伝えたい人に伝えられる<6>

改めてイシューとは?

本の内容はさらに発展していくけど、僕のこのエントリーは最後のまとめに入る。

「良いイシューとは?」自体が僕オリジナルのまとめだから、すでに改める必要はないけど、所感みたいなものを書く。

世の中には頭が良くて何でもできる人がたくさんいるけど、そうじゃない人もトライ&エラーを繰り返すと成功に近づくってのは真実だと思う。

だから、極論を言ってしまうと無我夢中でやれば大なり小なり結果は出るわけで、大事なのは「どんなイシューを持つか?」なのかもしれない。

そんなことを考えた。